はじめまして、またはいつも読んでくださっている皆さまへ。
北木右京(北木@創作ノート)です。
声・気配・言葉――
目に見えないものの中に、人の本質が宿っている。
そんな気づきをもとに、希望と再生をテーマにした創作を続けています。
デジタル時代に、あえて手書きを選ぶ理由
現在、小説の執筆といえば、
パソコンに向かいキーボードで文章を入力することが一般的です。
スマートフォンで書く人もいます。
これからは、音声入力によって執筆する人も増えていくのかもしれません。
昔でいう「口述筆記」のような形です。
そんな時代の中で、私は今でも原稿用紙に万年筆で小説を書いています。
理由は、とてもシンプルです。
一番、自分に合っているからです。
400字のマス目に区切られた原稿用紙は、
わたしにとって自然なリズムで書くことができます。
マス目があることで書きにくい、という人もいると思います。
しかし、わたしの場合は逆です。
マス目という区切られた空間が余白を生み、かえって感覚がつかみやすくなります。
もちろん、効率だけを考えればパソコンの方が優れています。
修正も簡単ですし、文章を移動させることもできます。
それでも、手書きにはデジタルとは違う感覚があります。
体感ですが、手書きで執筆すると、
デジタルで入力する時よりも、頭と身体をより使っているように感じます。
普段何気なく入力しているメッセージやSNSの投稿、メール。
それらを一度手で書いてみると、「書く」という行為の違いを実感できると思います。
「書く」ということは、単なる知的作業ではありません。
頭で考え、手を動かし、身体全体で言葉と向き合う作業です。
手書きから生まれる時間
手書きの良さは、早く書けないことにもあります。
漢字を思い出したり、ひらがなが違っていないか確かめないといけません。
一文字を書く間に、次の言葉を考える時間が生まれます。
そのわずかな時間の中で、
「この言葉で本当に伝わるのか」「この表現で登場人物の気持ちは届くのか」と、
自分自身に問いかけることができます。
小説では、出来事だけではなく、人の感情や心の揺れを描くことが大切です。
すぐに答えを出すのではなく、立ち止まって考える時間も必要だと感じています。
原稿用紙と物語の積み重ね
原稿用紙には、一枚ごとに区切りがあります。
一枚、また一枚と書き重ねていくことで、少しずつ物語が形になっていきます。
400字という単位で積み重なったものが、やがて一冊の小説になります。
デジタルでは画面上に表示される文字数も、
原稿用紙では自分がどれだけ歩いてきたのかを目で確認することができます。
その積み重ねを見ることも、執筆を続ける力になっています。
万年筆を使っているのも、長時間書く中で手や指への負担が少なく、
自分に合っていると感じるからです。
明治、大正、昭和と続いてきた書き方を、21世紀の今でも続けています。
時代に逆らうためではありません。
デジタルには便利さがあります。
しかし、わたしが小説を書く時に求めているのは、早さだけではありません。
言葉が生まれるまでの時間。
登場人物の気持ちを考える時間。
物語と向き合う時間。
そのすべてを含めて、創作だと思っています。
なので、今も手書きを選んでいます。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
書くことで、見えないものに光を灯す――
これからも静かに、言葉を紡いでいきます。
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